Design Wave
August 10, 2008
By シニアFAE 松本 光寛
エミュレータ: 従来 vs. EVE ほんの数年前までハードウェアエミュレータといえば、きわめて大型で、専用の電源設備や空調設備が必要な上に、使うにしても専門の技術担当者を養成しなければなりませんでした。しかも、購入および保守の費用が非常に高額なために、同時に複数の大規模プロジェクトで並行に利用しないと、投資額に見合う効果を得ることは困難でした。
このような状況を打開するためEVE社は、2002年5月の「ZeBu ZV-6000」出荷以来、一人ひとりのエンジニアが利用可能なほどに低額かつ小型のハードウェアエミュレータの実現を目指してきました。第一世代のZeBu-ZVでは米Xilinx社, Inc.のFPGA「Virtex-II」を実装し、最速で12MHzでのエミュレーション実行を可能にしました。ZeBu-ZVはPCIカード・タイプで、PCのPCIカードスロットに挿入するだけで設置が完了するという、画期的なコンセプトのエミュレータでした。
業界の常識を打ち破る 従来のエミュレータでは、内部を構成するチップのほとんどは特注で開発・設計されたLSIであり、エミュレータの開発はベンダにとっても莫大な予算と投資が求められました。その結果、ハードウェアエミュレータの製品サイクルは半導体プロセスの進歩に比べて非常に遅く、新製品の発表までに数年を要することが、なかば“常識”となっていました。
しかしEVE社はこの“常識”に敢然と立ち向かい、新製品を毎年のようにリリースし続けています。EVE社がリリースするそれぞれの新製品は前世代のものに対して特色ある改善が図られ、お客様のご期待に応え続けています。これは、これまでのハードウェアエミュレータの業界では常識破りともいえることです。
EVE社のエミュレータZeBuは、小型のPCIカード・タイプと、大型のボックス・タイプに分けられます。EVE社はPCIカード・タイプとボックス・タイプのそれぞれについて、交互に新製品をリリースしています。
図1.エミュレータ/プロトタイピング ロードマップ
その秘密は最先端FPGAの活用
低額・小型でありながら高速なエミュレーションを達成するために、EVE社は汎用の最先端FPGAを活用する方針をとっています。これが、従来のエミュレータと大きく異なる点です。
EVE社にとって最初の製品であるZeBu-ZVに搭載された「Virtex-II」では0.12μmプロセスが用いられていました。ZeBu-ZVの後継機種であるZeBu-UFでは、90nmプロセスの「Virtex-4」が採用されました。「Virtex-4」では旧世代品に対して性能と集積度が2倍になったことで、ZeBu-UFの最高速度もまた40MHzに向上しました。
業界のもう一つの常識を打ち破る
従来のエミュレータでは、その登場から15年以上の間、最大エミュレーション速度は1~3MHz程度に留まっています。これは現在も変わっていません。しかも、エミュレータに載せるデザインがそれほど大きくなく、回路としてもシンプルであったとしても、このエミュレーション速度の上限から逃れることはできないのです。いかにも不条理なことではあるのですが、エミュレータの業界ではこのこともまた“常識”とされてきました。
しかしEVE社は、この“常識”に対しても挑戦を続けています。
ZeBu-ZVの最高速度12MHzからZeBu-UFでは最高40MHzと、ZeBu-ZVからZeBu-UFまでの3年の間に3倍以上の速度向上を果たしました。そして、その挑戦は今も、そしてこれからも続いていきます。新製品のZeBu-Personalでは最高で60MHzの速度を達成しています。
新製品ZeBu-Personal
2008年3月、EVE社は満を持してZeBu-UFの後継機種ZeBu-Personalを発表しました。
ZeBu-Personalでは大きく二つの新技術を採用し、ZeBu-UFに比べて以下のような向上を達成しました。 FPGAあたりの論理回路容量: 1.6倍 メモリ容量: 2倍 最大エミュレーション速度: 1.5倍 トレースメモリ容量: 2倍
新技術その1:65nmプロセスFPGA「Virtex-5」
ZeBu-Personalでは最先端FPGAである「Virtex-5」LX330を搭載しています。
以下に、Virtex-4に対するVirtex-5の長所の中でZeBuの視点から特徴的な項目を挙げます。 分散RAM: 64ビット/CLBから256ビット/CLBへ拡大 インターコネクト: 斜め配線追加による配線の高速化 ブロックRAM: ブロックあたり18Kbitから36Kbit (2 x 18 Kb)に拡張 DSPブロック: FPGA あたり最高 512 スライスから最高640スライスに拡張 18 x 18 ビット MACから25 x 18 ビットMAC へ拡張 これらのFPGAの改善により、ZeBuのコンパイルが効率化できます。
新技術その2:PCI-Express これまでのZeBuエミュレータは全て、ホストコンピュータとのインタフェースにPCIバスを用いてきました。 しかし今回、ZeBu-PersonalからいよいよPCI Expressが採用され、その転送レートは2Gbpsに達しました。
エミュレータもPersonalへ
これまでのZeBuエミュレータの機種名は、ZV、XL、UF、XXLと、全て略語でした。しかし今回の新製品ZeBu-Personalには、Personalという単語そのものが与えています。これには、EVE社にとっての大きな目標である「一人ひとりのエンジニアが利用可能なほどに低額かつ小型のハードウェアエミュレータの実現」が、ZeBu-Personalによって果たされてほしいという願いが込められています。また、果たされるに違いない、という自信の表れでもあります。
ZeBu-Personalの特色ある商品戦略にも、その意気込みが表れています。
ZeBu-Personalでは、ソフトウェア開発に絞ったエミュレータを、さらに低額でご提供することも可能です。この形態では、ハードウェアのデバッグこそできませんがZeBuにマッピングされたハードウェアが高速に動作するので、ESやプロトタイプの実現前に、SoCやプロセッサのソフトウェアを効率的に開発できるようになります。
すべてはお客様のために
EVE社は、エミュレータ本体だけではなく、効率的かつ効果的な論理検証環境の構築に不可欠な検証IPおよび開発支援ツールの開発と提供に、積極的に取り組んでいます。
EVE社はこれからも、お客様のご期待に応えられるよう、理想的な論理検証環境の実現のために全力で邁進してまいります。